【イベントレポート】第2回ヘルスケア発信塾「米国医療ジャーナリズムの潮流を知る」#1

一般社団法人メディカルジャーナリズム勉強会(代表:市川 衛)は、2019年6月21日(金)、2019第2回ヘルスケア発信塾「米国医療ジャーナリズムの潮流を知る ~Health Journalism 2019参加報告~」を開催しました。参加者は、報道関係者、医療関係者等を含む同発信塾過去最高の計60名。当日は、当会会員としてAHCJ年次大会に参加した市川衛、松村むつみ、秋元麦踏、大脇幸志郎、浅井文和の5名が年次大会で参加した各セッションの報告を行いました。

本イベントレポートでは、全5回にわたり報告内容を簡単にご紹介します!第一弾は、当会代表 市川 衛からの報告です。

市川衛【メディカルジャーナリズム勉強会 代表/医療の『翻訳家』】

動画・音声で医療健康情報ををいかに伝えるか

 現在、アメリカでは医療健康情報を文字だけで伝えるのは難しいという認識になっています。文字情報に加えて、いかにして動画・音声を取り入れて伝えるかが一つの課題になっている。自分自身もテレビにかかわり、テレビは映像の力でヒトの心を揺さぶるパワーはあると感じますが、情報量は限定的、一方で新聞は情報量は多いものの、印象付けは弱いという長所短所があると感じます。

アメリカでの新たな取り組み…カメラ取材なし!

 今回の「映像・音声の活用法」というセッションでは、動画と音声と活用した事例が紹介されました。その実例の一つがVoxという若年者向けメディアで報じられた「麻疹の再流⾏の理由」という動画です。

 この動画ではかつてアメリカではワクチン接種推進で麻疹が根絶間近になりながら、特定のコミュニティーでのワクチン接種忌避で麻疹が再流行しているということを解説しています。動画はグラフとそれに付随するコメント、資料写真、専門家のスカイプインタビューのみで効果的に構成されています。報道では当たり前のテレビカメラを使った現場取材を全くしていないのが特徴です。この背景には現在、アメリカでもプライバシー問題などから、現場取材許可が困難になっているという背景があります。こうした手法には賛否も含め、様々な意見はあると思いますが、新たな手法の1つとして注目されても良いのではないでしょうか。

女性専門家は、取材の対象になりにくい?

 また、「ダイバーシティに配慮した取材」のセッションでは、看護師向け学術誌「Nursing」に発表された医療健康報道を分析した「Woodhull Study」という興味深い研究のデータが紹介されました。1997年と2017年の公開報道の比較すると、看護師が情報ソースとなっている報道は4%から2%に低下し、新聞やテレビ報道、イメージ写真で使われている専門家での女性比率は20~30%台にとどまるというというものです。いわば医療健康報道で取材されるのは医師でかつ男性ばかりという結果です。この背景にはメディアの側が看護師を取材源と認識していない、看護師側も情報発信に対する意識が低いなどの分析が示されました。

「SNS誤情報拡散時代」にジャーナリズムが果たす役割

 最後に、「SNSでの医療情報コミュニケーション」に関するセッションでは、ワクチン問題にも触れ、SNS上でのコミュニケーションのポイントが示されました。医療健康情報では、データや事実の提示が重要視されることも少なくありません。しかし、それは「逆効果」であると言います。コミュニケーションにおいて重要となるのは「共感」や「応援」であり、相手の「感情」を第一に考えることです。また、たとえ話や比喩も有効であると言われています。
 ジャーナリストは「難しい話を分かりやすく伝えるプロ」。その技術を社会課題の解決に向けて活用することができるないかとの見解が述べられました。

(村上 和巳)

次回は、放射線科医であり医療ジャーナリストでもある松村むつみによる報告をご紹介します。テーマは「健康格差」。お楽しみに!

当会主催のイベントのアーカイブ動画は会員にのみ公開中です。詳しくはこちら

関連記事

  1. 【イベントレポート】1月25日(金)開催 伝え方サミット SNS時代の…

  2. AHCJ2019基調講演の様子 撮影:市川衛

    【ニュース】AHCJ2019にメディ勉より5人が参加

  3. 私たちの活動

  4. SNS時代の「#あたらしいクスリ情報」のカタチ~セルフメディケーション…

  5. 組織や立場の枠を超え「1mmでも良い発信」を目指す場所へ-2019年の…

  6. 【11月1日】第4回ヘルスケア発信塾 正確な医療記事の見分け方&公開レ…

  7. メディカルジャーナリズム勉強会、ソーシャルネットワークを活用した 「ワ…

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。